本記事は、『私たちはどうかしている』(安藤なつみ、講談社)の感想記事です。
※ 作品の登場人物や内容に言及があります。ネタバレを含みます。未読の方は本記事を読まないことをお勧めします。
※ 単なる個人による感想・考察です。
※ 画像は全て 『私たちはどうかしている』(安藤なつみ、講談社) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
あらすじ
七桜は幼いころ、母が住み込みで働いていた老舗和菓子屋・光月庵で椿と出会う。しかしある事件が起き、殺人の容疑をかけられた七桜の母は逮捕され、七桜も追い出されてしまう。15年がたち、失意の七桜の前に現れた椿。二人は和菓子の腕を競って対決することに。七桜の人生を狂わせた椿。その憎い椿は、あろうことか七桜に自分との結婚を持ちかける。七桜をかつて幼なじみとだは気づいていない椿。思いもよらない言葉に七桜は!?
感想
老舗和菓子屋、光月庵を舞台に繰り広げられる、かつて幼なじみだった男女をとりまく愛憎劇です。主人公は菓子職人の女性です。可愛いですが芯の強さをもった女性です。
既刊の第14巻まで一気に読んでしまいました。ハラハラドキドキさせられました。
少女漫画ですが、ストーリーは、ミステリー要素と恋愛要素のバランスが良く、和菓子を中心に、日本の伝統文化の世界も丁寧に描かれてます。和菓子業界の事情なども含めて、安藤先生もたくさん取材されたのだろうと感じます。
読んでいて切なくなる物語です。惹かれ合いながらも、疑ったり、嘘をついたり、ハラハラします。お互い打算によって結婚したはずなのに、どんどん惹かれ合っていく姿が美しいです。
第1章では、火事で離れ離れになるシーンは胸が痛かったです。
七桜がさくらだと椿に正体がバレてからは、まだ惹かれ合ってるのにお互いの気持ちを隠しているので見てて切ないです。
第2章は、火事から会わないまま3年が過ぎた時点からスタート。七桜が光月庵を乗っ取ったのも椿の目のためだけれど椿は気付いていない。火事の時も椿は約束を守ろうとしたけれど、七桜は椿が道具を優先して守ったと勘違いしている。
最近になって椿が七桜の過去の妊娠を知ったのは個人的には良かったと思いました。
多喜川さんが女将を恨む気持ちは理解できますが、女将に仕返しをするために光月庵の人々を巻き込んだのも、七桜に惹かれるのも、なかなか微妙な気持ちになりました。
女将も光月庵に運命を翻弄された女性です。ただの悪役ではない。栞に対して、帰りなさい、いばらの道よ、戻れなくなる前に、と忠告したのが、深いです。
少しずつ過去の謎が解かれつつあります。クライマックスも近いとのことです。