2019年11月3日日曜日

ブスに花束を。42話「新日常」の感想 Busuhana Chapter 42

『ブスに花束を。』第42話「新日常」(作者: 作楽ロク、掲載誌:ヤングエース 2019年12月号)の感想記事です。

※ ネタバレを含みますのでご注意ください。

※ 前回の感想記事:ブスに花束を。41話「どこにでもある恋の話」の感想


前回のあらすじ


中学時代の同級生・赤羽との偶然の邂逅に思い出が蘇る田端さん。上野君に赤羽君が好きと誤解され、こじれるも、律子さんのナイスアシストにより誤解も解ける。遂に想いが通じ合った上野君と田端さん。二人は内緒で付き合うことに…。

※ 前回の感想記事:ブスに花束を。41話「どこにでもある恋の話」の感想

感動のままに終わった、41話でしたが、さて、今月号はいかがでしょうか…。


女の友情と田端さんの変化


今回は、まさに、女の友情回でした。鶯谷さんとの距離もさらに縮まったのかな。

確かに私達
一番の友達じゃ
ないかもしれない
でも
それでも
私 あんたとはもっと
仲がいいつもりだったのに

鶯谷さんが、男前でカッコイイです。鶯谷さん、好きだなぁ。ブス花の初期、腹黒キャラで登場した時は、こんなに「いい女」に成長するとは思いませんでしたよ。

田端さんのかわいらしい笑顔がまた見られました。田端さんのこの笑顔が発揮されたのは、上野君(第24話「君と花火が見たい」)、新橋君と圭介君(第38話「神様、背中を押して」)でしたが、今回は鶯谷さんと大塚さんにも見せられましたね。

そして、春から継続していた、田端さんの「ぼっちランチ」@学校階段、も今回を機にエンドでしょうか。

今回、田端さんは、友人として自分を心配してくれる人、気遣ってくれる人の存在に気が付きます。喪女キャラとしての立ち位置はそう簡単に変わるわけではないでしょうが。

私は、田端さんの自虐キャラは好きですし、自虐系喪女JKラブコメという「ブス花」の漫画としての性格上、田端さんの不自然なキャラ変もないと思います。が、一方で、今後上野君と田端さんが交際を続けるのであれば、田端さんは、「他者が自分に向けた好意に気づき、それを素直に受け止められるようになる」というプロセスが必要であると考えています。

今回のエピソードは、その大きな一歩であったのではないかと感じました。清々しい展開でしたね。

それにしても、田端さんは、上野君が周囲の女の子たちからあこがれの存在であることについて、当たり前のように受け止めており、嫉妬する風情はありません。上野君が勝手に嫉妬したり独占欲を感じているのとは対照的ですね。この辺りは今後描かれるのでしょうか。



赤羽くんの立ち位置と駅名からの考察


前回に続き、今回も登場した赤羽くん。

…田端に伝言頼めない?

というセリフが気になります。



どんな伝言を頼みたいのでしょうね? まさか、「あのとき美化委員を代わってくれてありがとう」とか?

あおりに「三角的な…⁉」とありますが、ブス花の作風的に、多分、典型的な三角関係にはならないでしょう。

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そして、駅名から考えた、上野駅と赤羽駅の関係も面白いです。

1)言わずと知れた、「ブスに花束を。」の主要登場人物の苗字は、JR山手線・京浜東北線の沿線の駅の名前です。赤羽駅も、JR京浜東北線の駅ですね。

ただし、赤羽駅は京浜東北線の駅ではありますが、山手線の駅ではありません。したがって、赤羽くんは、準主要キャラ、あるいは、山手線組とは一線を画すキャラになる気がします。実際、高校も違いますし。

もっとも、赤羽駅と上野駅は路線図をさらに見ると面白い関係にあるのです。以下詳述します。

2)JR京浜東北線でみれば、赤羽駅と上野駅は、田端駅までの駅数が同じです。つまり、赤羽駅と田端駅の間の駅数と、上野駅と田端駅の間の駅数がそれぞれ3駅なのです。田端さんに対しての心の距離が同じくらいある=好意があるということかも?

上野→鶯谷→日暮里→西日暮里→田端→上中里→王子→東十条→赤羽

3)JR京浜東北線は、日中、快速運転となり、一部の停車駅は通過となります。京浜東北線の快速運転中は、上野駅の次の停車駅は田端駅となります。

一方、快速運転の時間帯でも、田端駅以北は各駅停車となります。つまり、田端駅から赤羽駅までは各駅停車です。

上野鶯谷→日暮里→西日暮里田端→上中里→王子→東十条→赤羽

上野君は田端さんに対してストレートに好意を告白したけれど、赤羽君は田端さんに対して素直に好意を表現できなかった、あるいは、好意を表現するまで時間がかかった、ということを示唆するのかもしれません。

4)また、田端駅は、JR山手線とJR京浜東北線が乗り入れており、田端駅で乗り換えることができます。赤羽駅と上野駅は田端駅を起点に繋がっているとも言えますね。上野君と赤羽君の共通の友人が田端さんという設定に通じますよね。

一方、JR高崎線でみれば、上野駅と赤羽駅は、尾久駅を間に挟んでつながっております。

上野駅→尾久駅→赤羽駅

これも、上野君と赤羽君がバイト仲間という関係にあり、田端さん経由ではなく繋がっていたという設定とも通じますね。


5)さらに言えば、上野駅と赤羽駅は、いずれも、東京の北の玄関口と言われるターミナル駅であり、上野君と赤羽君、二人のリア充キャラという立ち位置に相応しい駅名です。

上野駅は、JR山手線や京浜東北線、常磐線(上野東京ライン)、東北・上越・北陸各新幹線のほか、東京メトロ銀座線・日比谷線が乗り入れていて、「東京の北の玄関口」ともいわれています。一方、赤羽駅も同様にターミナル駅で、赤羽駅には「埼京線」「湘南新宿ライン」「上野東京ライン」「京浜東北線」の4線が乗り入れており、「東京の北の玄関口」と言われてきました。

上野君と赤羽君、それぞれ、リア充で周囲の人気が高いという位置づけと被りますね。

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いろいろ考えると、「赤羽」というのは、おいしい位置づけの駅ですし、赤羽駅を採用した著者のセンスには脱帽としか言いようがありません。今後、ロク先生がどのように料理するのか、楽しみです。

ワタクシ、どうも赤羽くんの方が気になって仕方ありません。

前回で上野くんと田端さんがめでたく両想いとなり、ある種、カタルシスを得られたわけです。その結果、主役の二人よりも、赤羽くんの方が気になるようになってしまったわけです。いやはや・・・。私という読者は、なんて身勝手なのでしょう。主役の二人が早くくっつかないかと思っていたのに、いざくっついてしまったら、次は当て馬キャラ(?)のほうが気になってしまうなんて。

もちろん、「田端さんと赤羽くんがくっついてほしい」という気持ちにはならないですよ。上野君と田端さんの組み合わせにほっこりするので。しかし、本作品で、赤羽という存在がどのような役割を与えられているのかが気になるのです。あぁ、まんまとロク先生の術中にはまってしまったのかしら。



次回の「ブスに花束を。」第43話の展開予想


今月号の「ブスに花束を。」は、田端さんと上野君の交際初日の模様、そして、女の友情回でした。初々しい二人にほっこりしました。周りに隠したままお付き合いをしようとする二人でしたが、鶯谷さんと大塚さんの知るところになりましたね。

カラオケ回から長く続いた、上野君の告白篇も、今回のエピソードで一区切りでしょう。田端さんの精神面の変化も感じました。今後は、お付き合い篇のなかでさらに田端さんの葛藤や周囲との軋轢などが描かれるかと思います。

次号は、ラストの赤羽君の伝言からスタートと予想します。また、五反田君や新橋君にも伝わるエピソードが描かれるかも?意地悪なクラスメイトにも伝わってしまうのでしょうか?

次回の「ブスに花束を。」第43話は、8巻の最初のエピソードとなるはずです。そうすると、カラー表紙を拝めるかなと期待しています。楽しみです!


ブス花の付録・クリアファイルの感想


ヤングエース2019年12月号の紙版には、ブスに花束を。の付録として、クリアファイルがついておりました! クリアファイルと言えば・・・かつて田端さんがベリ甘のクリアファイルを上野君の鞄にまぎれさせてしまったときのエピソードを彷彿させますね!

今までは電子書籍媒体で本作を購入していたのですが、ついに、紙版の本誌を購入してしまいました。

今の季節のイメージに合う、とても素敵なイラストでしたよ!