2019年7月3日水曜日

「コレットは死ぬことにした」とギリシャ神話との関係 Relationship with Greek mythology

ギリシャ神話との関係


「コレットは死ぬことにした」は、冥王ハデス様をはじめとしてギリシア神話の神々が登場します。ギリシャ神話を素材としているようです。そこで、少しギリシア神話との関係について調べてみました。

ギリシャ神話のペルセポネ


ギリシア神話では、冥王ハデスには正妻として、ペルセポネがいます。

ペルセポネは、ギリシア神話に登場する女神で冥界の女王です。ゼウスとデメテルの娘で、ハデスの妻です。しばしばコレー(「乙女」の意)とも言及されます。地上にいる間はコレーと呼ばれ、冥界に入るとペルセポネと呼ばれることもあります。

「ペルセポネ」という名前の意味については諸説あり、「光を破壊する女」、「目も眩むような光」、「破壊する者」など。ペルセポネの象徴は水仙、ザクロ、蝙蝠とされています。

最初、ハデス様の正妻がペルセポネなら、コレットとの恋はいずれ終わってしまい、本作の結末は悲恋になってしまうの?と一瞬ショックを受けました。

しかし、さらに詳細を確認したところ、ペルセポネの地上での呼び名は「コレー」というそうです。おお。「コレット」と語感が似ていますよね。

コレット≒コレー=ペルセポネということでしょうか? そうすると、ハデス様とコレットの恋は鉄板ですよね!

最終的にはコレットもハデス様と結ばれるのかなぁ? ギリシャ神話では、ペルセポネは1年のうち4か月しか冥府にいない、すなわち、「別居婚」になります。

本作品でもやっぱり「薬師をつなげていきたい」というコレットの夢のため、別居生活のほうが長くなるのかなぁ。

そもそも論として、寿命のある、不死ではない、普通の人間のコレットとハデス様の関係がどれほど続くのかもわかりませんが・・・。

コレットの立ち位置


本作品中、コレットが「冥府の一員」かというのは、繰り返し暗喩されるキーワードの一つです。コレットは人間であり、たまに冥府にお泊りすることもありますが、冥府に住んでいるわけではありません。コレット自身、最初は半端者だと自覚していたわけです(コミックス1巻)。コレットは人間なので、冥府の食物も食べません。コレットの本籍はあくまで地上なのです。薬師を繋ぐという野望を抱いていることからも、彼女は今後も地上を本拠地として活動することは明らかでしょう。

しかし、一方で、コレットは、ハデス様の往診のために地上と冥府を行ったり来たりするし、冥府の住人達と仲が良いです。やがてはハデス様と両想いになり、お付き合いしています。

なお、ギリシャ神話のペルセポネも、一年のうち数か月のみ冥府に滞在する存在ですが、冥府にある時は冥府の女王として冥王ハデスの隣に君臨しています。

地上と冥府を行ったり来たりするコレットはまさにギリシャ神話のペルセポネの立ち位置のそれでしょう。

ヘラクレスの12功業


本作では、コミックス第1巻で、ヘラクレスが冥府に来襲し、ケルベロスを誘拐しようとするとのエピソードが描かれています。

ギリシャ神話のヘラクレスのエピソードですが・・・
ケルベロスはオルトロスの兄であり、3つの頭を持つ犬の怪物。ヘーラクレースは冥界に入ってハーデースから「傷つけたり殺したりしない」という条件で許可をもらい、ケルベロスを生け捕りにした。その際、ペルセポネーを略奪しようとし、また「忘却の椅子」に捕らわれていたテーセウスとペイリトオスを助け出した。また、地上に引きずり出されたケルベロスは太陽の光を浴びた時、狂乱して涎を垂らした。その涎から毒草のトリカブトが生まれたという。

とのことでした。

ザクロ


ギリシャ神話では、ペルセポネ(コレー)が冥府のザクロを食べて、1年のうち数か月間冥府に住まなくてはならなくなります。

本作でも、後半にザクロの芽が出てきます。今のところ、ザクロは冥府に新たに芽吹いた植物というポジティブな立ち位置です。さて、このザクロは、今後どのような役割を果たすのでしょうか・・・。

メンテ


本作で登場し、ハデス様に可愛がられるも、あっという間に消えた、ニンフのメンテちゃん。

ギリシャ神話ではハデスの浮気相手としてメンテが登場します。ペルセポネの嫉妬が恐ろしいです。

本作ではメンテを幼女として描くことによって、ギリシャ神話の冥王ハデスの浮気エピソードを、小さい子を可愛がるハデス様、という内容に昇華しています。コレットも一応ヤキモチを焼いてますが、とてもさらりと終わっています。

「花とゆめ」のなかで、おどろおどろしい嫉妬エピソードを描くのはご法度なのか? 嫉妬に狂うコレットは見たくないので、このような描き方で私は良かったと思っていますが・・・。


クロノス

クロノスは、ギリシア神話の大地および農耕の神です。ウラノスの次に全宇宙を統べた二番目の神々の王です。万物を切り裂くアダマスの鎌を武器とします。

クロノスは父同様、子にその権力を奪われるという予言を受けたため、わが子に支配権を奪われる不安にかられ、生まれた子供を次々に飲み込んでしまいました。最後に生まれたゼウスだけは、母のレアが偽って石をクロノスに食わせたために助かったのです。兄弟は力を合わせて、クロノスらティーターン神族を倒しました。

その後ゼウスとポセイドンとハデスは支配地をめぐってくじ引きを行い、それぞれ天界と海界と冥界の主となりました。更に、ゼウスはその功績から神々の最高権力者と認められました。しかしその一方、この時のハデスは冥界の主となったためにオリュンポス十二神から除外されました。

クロノスの子供たち
  • 炉の女神ヘスティア
  • 豊穣の女神デメテル
  • 結婚と出産の女神ヘラ
  • 冥界の王ハデス
  • 海の王ポセイドン
  • 神々の王ゼウス

ラダマンテュス、ミノス、アイアコス 


エリシュオンの住人として登場した、ラダマンテュス、ミノス、アイアコスの三人。姿は少年、中身はおじさん、として描かれています。

ギリシャ神話のなかでは、ラダマンテュス、ミノス、アイアコスは、いずれもハデスの部下であり、冥界の審判者です。

彼らがハデス様の部下になるのか気になって購読しておりましたが、その後、紆余曲折を経て、無事に部下になったようです。

ハデス様の仕事量もこれで少しは軽減されるのでしょうか・・・?