本記事は、『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊)を考察するものです。
※ 作品の登場人物や内容に言及があります。ネタバレを含みます。原作漫画を未読の方は本記事を読まないことをお勧めします。
※ 単なる個人による感想・考察です。
※ 画像は全て 『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
なぜ出雲大社にはウサギがいるのか?
日本神話の「因幡の白兎」にちなんで、出雲大社にはウサギがいる。
簡単に言うと、大国主様が因幡に向かう際、赤裸で苦しんでいた兎に会い、手当てし、助けてあげるのだ。
日本神話にはうさぎを使いとする神様が多い。
ぱっと思い浮かぶのは、「因幡の白兎」から、大国主命だけれど、実は月の神様・月読命のお使いも兎。
また、兎自体が神様として祭られている神社もある。
鳥取県の白兎神社は、「因幡の白兎」に登場する白兎神が祀られている。
白兎神様の神徳は、古事記の記述にちなんで、医療、動物医療、及び縁結び。
年末の闇市でのウサギの易者の正体は?
本作では、巴衛と奈々生は時々ウサギと会う。
最初は11月に奈々生が出雲大社で行われた神議りに参加したときだ。出雲大社にウサギがいる理由は上記の通り。
2回目は、年末に闇市を歩いたときだ。奈々生と巴衛はそれぞれ別々にウサギの易者と出会う(第11巻第65話、第66話)。
私見だが、ウサギが日本神話において果たす役割を踏まえると、このウサギの易者は神のメッセージを伝える者か、あるいは神そのものではないかと考えている。実際、このウサギの易者は巴衛に対して重要なメッセージを告げるのだ。
第11巻第65話 |
「あなたが思ってるよりあの子は強いわ」・・・「長年こういう商売をしているとね・・・器でなくものの本質が視えるのよ」(第11巻第65話)
誰のお使いなのか?
大国主命はキャラ的にも立場的にも、わざわざ巴衛に教えるためにお使いは放たないだろうから違うだろう。
個人的にはミカゲ様の正体が月の神様ではないかと思っているけれど、立ち回り的に、あの兎さんとは無関係に思う。
やっぱり「物語の神様」(=作者)のお使いかなと。
上記の通り、白兎神様の神徳は、古事記の記述にちなんで、医療、動物医療、及び縁結び。
呪いや本質をみれないなど当時様々な問題を抱えていた巴衛に対して、あの言葉を告げる神様として相応しいと思う。
あの「呪い」も一種の病気みたいなものかなと。
続く錦編では、錦が作中で助けた病気持ちの犬と巴衛が似ているという意味深な台詞を言っているし。