2020年10月4日日曜日

「神様はじめました」考察 喪失② 鞍馬「本当の俺は空を飛ぶのが好きなんだ」(第19巻第109話)


本記事は、『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊)を考察するものです。

※ 作品の登場人物や内容に言及があります。ネタバレを含みます。原作漫画を未読の方は本記事を読まないことをお勧めします。

※ 単なる個人による感想・考察です。

※ 画像は全て 『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。


鞍馬のトラウマ


最初の鞍馬山編で鞍馬のトラウマが描かれている。

鞍馬(真寿郎)が飛ぶのをやめ、人間界へ移ったのは、おそらくは彼を守った翠郎が翼を失ったからなのだ。本当は飛ぶのが好きなのに飛ぶのをやめたのは、幼少期のトラウマによるものなのだ。


沖縄修学旅行


最初の鞍馬山編では、鞍馬のトラウマの原因は描かれたものの、克服までは描かれなかった。

そのフォローアップとして描かれたのが、沖縄修学旅行であみを救ったときだ。

鞍馬の本質は「空を飛ぶ」ことにあった。

「天狗も御山も…俺にとって本質の部分だから…そーゆーのは無闇に人間には知られたくない…」(第19巻第109話)

第19巻第109話

「人間界ってのは俺にとって海の中みたいなものかもしれない 水の中で生きてくと決めてエラ呼吸を覚えても 魚の真似が上手くなっても 本当の俺は空を飛ぶのが好きなんだ」(第19巻第109話)

あみの言葉により、鞍馬は飛ぶのが好きな自分を愛し、認めることができたのだ。

それまでも、物理的には空を飛ぶことができていたけれど、心理面でも心置きなく飛べるようになったのだ。

「わたしは空を飛んでるくらまくんのことが好き 大好きだよ」

(俺はずっと誰かにそう言われるのをまってたのかもしれない 本当の俺に触れてくれた君を) 

(第19巻第111話)


その後の二人の予想

おそらく鞍馬はあみと両思いになったとしても人間にはならず、二つの世界を行ったり来たりすると思う。

なぜなら彼の本質は「飛ぶこと」であり、鞍馬が本当の自分でいるのをあみも望んでいるからだ。