本記事は、『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊)を考察するものです。
※ 作品の登場人物や内容に言及があります。ネタバレを含みます。原作漫画を未読の方は本記事を読まないことをお勧めします。
※ 単なる個人による感想・考察です。
※ 画像は全て 『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
かんざしの位置づけ
かんざしは「ずっと一緒の約束のしるし」である。
- 現代の巴衛と奈々生の「神と神使の契約」
- 過去の巴衛と奈々生の「未来(500年後)の結婚の約束」
- 過去の巴衛と黒麿の「人間にする契約」(後に無効化)
- 現代の巴衛と奈々生の「現代における結婚の約束」
(詳細は、「神様はじめました」考察 なぜ巴衛は遊園地デートで奈々生にかんざしを渡したのか?(第7巻第38話))
かんざしにまつわる時系列
かんざしにまつわる時系列は以下の通りだ。
- 現代で、巴衛がかんざしをミカゲ社の祭事の際の出店で買う(第5巻第30話)(描写はないが第38話の巴衛の台詞から伺われる)
- 現代で、遊園地デートの際、巴衛が奈々生に渡す(第7巻第38話)
- 現代で、巴衛は自分が贈ったかんざしを髪につけている奈々生を見て「きれいだ」と思う(第13巻)
- 500年前、時廻り中の奈々生が将来の結婚の約束の誓いの証として野狐巴衛に渡す(第16巻)
- 500年前、野狐巴衛が契約時に契約のしるしとして黒麿に渡す (第17巻第99話)
- 現代で、時廻りから戻った奈々生が、埋もれたかんざしを見付ける(第17巻第100話)
- 現代で、奈々生が掘り返したかんざしを巴衛に渡し、黒麿との契約が無効となって呪いが解ける(第17巻第100話)
- 現代で、巴衛が作り直したかんざしを奈々生に渡す(第17巻第101話)
かんざしは二人の関係性を象徴するアイテムである。
現代で、巴衛がかんざしをミカゲ社の祭事の際の出店で買う(第5巻第30話)
現代で、遊園地デートの際、巴衛が奈々生に渡す(第7巻第38話)
500年前、時廻り中の奈々生が将来の結婚の約束の誓いの証として野狐巴衛に渡す(第16巻)
500年前、野狐巴衛が契約時に契約のしるしとして黒麿に渡す (第17巻第99話)
現代で、時廻りから戻った奈々生が、埋もれたかんざしを見付ける(第17巻第100話)
現代で、奈々生が掘り返したかんざしを巴衛に渡し、黒麿との契約が無効となって呪いが解ける(第17巻第100話)
現代で奈々生が掘り起こしたかんざしがボロボロなのは、その当時の、呪いが再発動して精神状態がボロボロな巴衛の心の象徴でもある。
現代で、巴衛が作り直したかんざしを奈々生に渡す(第17巻第101話)
第17巻第101話 |
巴衛が奈々生に対して新しいかんざしを渡したことは、巴衛が奈々生に対して、新たな関係性を構築しようという申し出だ。「作り直した」というところがポイント。
(詳細は別記事。「神様はじめました」考察 「当然だ」 再びかんざしを渡した行為の意味とは?(第17巻第101話))
巴衛が再び渡したかんざしは「作り直した」もの、つまり、埋まっていたかんざしとは別の、新しいかんざしである。それは、永遠に失ったと思っていた500年前の「想い人」が実は生きて目の前にいるとわかり、巴衛の心が生き返ったことでもあるし、二人が過去を清算し、これから新しい関係性を築いていくということの象徴でもある。
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その後奈々生がかんざしを身につけるシーンはない。それは、このかんざしは「ずっと一緒にいる約束」の証という位置づけだからだ。重要局面でのみ登場する。ただし、時折、巴衛の回想シーンで、桜舞う中で奈々生がかんざしを渡す回想シーンが出てくる。巴衛の恋が500年越しの恋ということの象徴である。