本記事は、『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊)を考察するものです。
※ 単なる個人による感想・考察です。
※ 画像は全て 『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
今回の考察内容
先日整理した奈々生の一連の浄化エピソードにおいて、瑞希(水)の果たした役割を考察する。
関連記事:「神様はじめました」考察 「火」と「水」で「神」になる 巴衛(火)の穢れを祓う浄化の物語
瑞希が浄化アイテムをもたらしたエピソード
瑞希が浄化アイテムをもたらしたエピソードを整理した。
判明したのはやはり、瑞希(水)は奈々生(神)に対し、巴衛(火)のケガレを祓うのに必要なアイテムをもたらす役割を果たしていたということだ。これは、瑞希が人類最強の浄化アイテムである「水」そのものだからだ。
学校の浄化:式神の護
巴衛 ⇒ 荒ぶる感情のままに土蜘蛛を殺した為に学校が穢れ、瘴気に覆われる。巴衛自身も「ケガレ」に囚われる。
瑞希 ⇒ 式神・護をタイムリーに奈々生にもたらす。瑞希が式神の卵を初日に割ってしまったからこそ、土蜘蛛の瘴気に覆われた日に護君がいたのだ。もし7日待っていたら式神のヘルプはなかった。
奈々生 ⇒ 式神の護と退魔結界をはり、巴衛もろとも浄化する(第6巻第34話)。
※ 式神の護については、風神の乙比古神がもたらしたものだと思っていたのだが、見なおしてみると、瑞希が初日に割っていなかったら浄化に必要な時にまだ護は生まれていなかったのだ。気が付いて震撼した。やはり瑞希は「水」としての役割を全うしているのである。無意識でも…。さすが人類最強の浄化アイテム・水! どんなときも抜かりはない・・・。
過去編での巴衛の浄化:「時廻りの香炉」
過去編で奈々生が巴衛の呪いを解く過程もまた、巴衛の穢れを祓う「浄化」である。
巴衛:記憶を取り戻し、呪いが発動。過去の「死」(雪路、悪羅王の死)というケガレに囚われている。
瑞希:時廻りの香炉
⇒ 奈々生は過去にさかのぼり、呪いを解くカギを見つけ、巴衛の呪いを解き、ケガレを祓う(第17巻第100話)。
夜鳥・黒麿の浄化のきっかけ:「神の道」と勇気
瑞希が奈々生にミカゲ社から出雲へと続く「神の道」を教えたことで、奈々生は夜鳥の企みを知り、大国主の御霊を奪ったのが夜鳥であることをつかむ機会を得た。
また、「奈々生ちゃんは強くなったよ 最初にあった時よりもずっとずっと」と言葉をかけ、奈々生の神としての成長を認め、夜鳥と対峙する奈々生に勇気を与えた(第21巻)。
第21巻第121話 |
「火の山」での黒麿・夜鳥・巴衛の浄化:「龍神の羽衣」
火の山:巴衛
羽衣:瑞希が奈々生にもたらしたアイテム
奈々生 ⇒ 瑞希(水)から受け取った火除けの羽衣(浄化アイテム)で火の山に入っていく
⇒ 奈々生(神)が瑞希(水)の力を借りて巴衛(火)の心の中に入って、暴走する「火」を鎮めにいくという意味である。
⇒ 奈々生はお日様の光で黒麿を浄化し、結果的に夜鳥の闇ごとケガレを祓う。また、巴衛に対しては巴衛が自らの中の奈々生を見出だして火を鎮めることに成功する(第24巻第139話)。
第23巻 |
※ 羽衣のモデルは、おそらく『竹取物語』において、かぐや姫が阿倍御主人に出した難題である「火鼠の皮衣」だろう。火鼠の毛から織って作った火浣布(かかんふ)は、火に燃えず、汚れても火に入れると雪のように真っ白になるという特別な布だった。この火浣布とは実際は、鉱物性繊維の石綿であると言われる。
かぐや姫に関連する伝説が天人の羽衣伝説。だから奈々生が天女に見えたのだろう。
悪羅王の体の浄化:「進化の水」
火の山: 巴衛
⇒ 悪羅王の器は火の山で燃やしても消せない。「火」ではケガレを浄化できないからだ。むしろ悪羅王の器を他者に奪われないよう守る位置づけ。だから火の山は「巴衛」の象徴なのだ。
進化の水:瑞希がもたらしたアイテム
⇒ 悪羅王の体を「進化の水」で生まれ変わらせる試みは、「水」こそケガレを清めるからだ。だからこそ瑞希が進化の水を持ってくるのだ。
奈々生 ⇒ 進化の水で悪羅王の体を生まれ変わらせる提案をする=悪羅王の体の浄化
・・・イザナミの心を動かしたのは奈々生が提案したからだ。
これもやはり、「火と水で神になる」ということだ。