2020年10月13日火曜日

「神様はじめました」考察 テーマ・本質・属性・関係性のまとめ

 本記事は、『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊)を考察するものです。

※ 作品の登場人物や内容に言及があります。ネタバレを含みます。原作漫画を未読の方は本記事を読まないことをお勧めします。
※ 単なる個人による感想・考察です。
※ 画像は全て 『神様はじめました』(鈴木ジュリエッタ著、白泉社刊) より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。


テーマ・本質・属性・関係性のまとめ


これまでの考察の概要をレジュメ風にまとめてみた。

※ 青字は本編中描写はないけれど推察されるもの。


奈々生の使命:『桃太郎の鬼退治』

奈々生=「桃園奈々生」=邪気をはらう清らかなもの=桃太郎

巴衛=「姫太郎」=お姫様

夜鳥(煌かぶり成分)=「煌かぶり」=火(巴衛)と同化して輝きたい=鬼

奈々生(桃太郎)は巴衛(姫)を捜し回り、手を差し伸べ、浄化し、闇夜のケガレ(夜鳥)から助ける。

雪路の告げ口をして巴衛と悪羅王を仲違いさせて二人を奈落の底へ突き落したのも、いわば闇の力に引き寄せようとする闇夜の謀略。

物語のラスボスは夜鳥。狙われていたのは巴衛=姫太郎=桃太郎の鬼退治の「姫」 

「神様はじめました」考察 夜鳥の企み③ 美のカリスマ「煌かぶり」の芸術活動 狙われたのは巴衛 『桃太郎の鬼退治』


奈々生・巴衛・瑞希・悪羅王の属性・関係性:神話

奈々生=お日様=アマテラス

巴衛=荒ぶる火=カグツチ

瑞希=清らかな水=ミズハノメノカミ

悪羅王=荒すさぶ嵐=スサノオ

似た属性同士で仲良し。奈々生と瑞希(ハレ)、巴衛と悪羅王(ケガレ)

悪羅王は手のかかる末っ子ポジション。奈々生と巴衛に迷惑をかけたのは末っ子の行き過ぎた甘え。

瑞希(水)は奈々生(日)の為に巴衛(火)が暴走しないよう見張る。防火対象扱いなので巴衛は瑞希が邪魔。

奈々生(日)は巴衛(火)と瑞希(水)の二人のサポートを得て穢れを浄化して回る。同時に巴衛と瑞希がケンカしないよう見守る。

奈々生(日)は瑞希(水)の力を借りて巴衛(火)を鎮める。浄化する。


巴衛の転職・成長:神話と妖怪の歴史から推測


自然現象:荒ぶる火 

【古代の人々】火の神様(カグツチ)

【中世の人々】祀りそこなった部分を「妖怪」と認識したことで500年前頃に狐火を操る妖怪・巴衛が誕生する

⇒奈々生と出会い、浄化スタートするも途中終了。

⇒ミカゲと出会い、神使となる。しかし物の「本質」を見れないため、「神様」の本質を知らず、「神寄り」になれない。

【現代】奈々生の浄化完了。「神寄り」になり、御利益をもたらすように・・・仕事運・金運(バイト、招き猫)

【10年後】人間の巴衛・・・人間になっても巴衛は巴衛。仕事運・金運(転職先の会社も発展させる)


巴衛の課題:物の本質をみる


「奈々生に対する気持ち」の本質:奈々生を「好き」だと認められるか?

「愛した女」の本質:奈々生を見て「奈々生」と名前で呼べるか?

「人間の強さ」の本質:「人間を愛する」ことができるか?

「自由」の本質:自制心を獲得できるか?

「神様」の本質:「神と神使の契約」を破棄しても奈々生を「神様」として見出せるか?

「神と神使の契約」の本質:「ずっと一緒にいる約束」を「神と神使の契約」から「結婚」にアップデートできるか?

「共に生きること」の本質:そばにいなくても想うだけで温かくなれるか? 「みんなの奈々生」を受け入れられるか?

「言霊」の本質:言葉の持つ力を理解できるか? 言葉で愛情表現できるか?

「誰かを求めること」の本質:誰かをもとめるときに欲しいのは器ではなく心だと理解できるか?


巴衛の課題:自分の「神様」が誰か(ミカゲからの自立)


鳴神編で懐鏡から出て奈々生の手を取る

奈々生=「神と神使の契約」に基づき、「神使」として仕えるべき「神様」

⇒ 「ミカゲの神使」から「奈々生の神使」となることを認めた(鳴神編ラスト)

過去編で懐鏡から出て奈々生の手を取る

奈々生=500年前からの想い人(過去編ラスト)。恋人。「花」

⇒ 奈々生を「雪路」ではなく「奈々生」と呼ぶ(過去編ラスト)

悪羅王・夜鳥編の火の山で奈々生の手を取る

奈々生=自分の心の神様。「星」。生きる指針。

⇒ 「ずっと一緒にいる約束」を「神と神使の契約」から「結婚」へアップデート。ミカゲ社を出る。(最終話)

「神様はじめました」考察 花④ 「俺の夢はお前を世界一幸せにすることだ」 「星」とは何か

巴衛の目標:奈々生にお嫁に来てもらう

巴衛が奈々生に求婚をしたのは全部で4回。そのうち、3回はNGポイントがあったので実らなかった。

1) 500年前「お前が なにより 愛しい。そばに いてくれ」・・・奈々生の名前を呼んでない=関係性が存在しない

2) 十二鳥居編「ああ好きだとも これでお嫁に来てくれるかい」・・・奈々生が巴衛の名前を呼んでいない=関係性が存在しない

3) 過去編終了後 奈々生にかんざしをわたす・・・言葉を伴っていない

4) 最終巻「俺と結婚してくれ 奈々生」・・・奈々生の名前を正しく呼び、言葉で伝えている。

「神様はじめました」考察 「俺は言ったのだが」 巴衛が以前にした求婚とはいつか?


巴衛の課題:人間の心を育てる


自然現象「荒ぶる火」の具象化が巴衛であるため、巴衛の心の本質は「荒ぶる火」であり「人間の心」ではない。だから「言葉」も軽視する。巴衛は物語を通して、「人間の心」を育てていく。

【500年前の巴衛】

出会った時点:中2レベル(大人に対して抵抗感を示す荒れる中学生)

奈々生と出会い、想いを通じる:高校生男子レベルへ近づく

~いろいろあってリセット~

【現代の巴衛】

スタート時点:ちびっこ(心を知らない)

出雲で奈々生を好きだと自覚:小学生レベル(好きな子を苛めたくなる)

お付き合いスタート時点:中学生レベル

悪羅王・夜鳥編終盤:奈々生と同じ目線、すなわち、高校生男子レベル

10年後に社に戻った頃:外見相応の大人の男性

「神様はじめました」考察 「中学二年生の頃」過去の巴衛と現代の巴衛の違いとは 巴衛の心の成長過程

奈々生の意思と巴衛の自由


巴衛の自由⇒「意思の自由」
奈々生の意思⇒「自由な意思」